会長挨拶
第50回日本骨髄腫学会学術集会開催に向けて
第50回日本骨髄腫学会学術集会
会長 半田 寛
群馬大学大学院医学系研究科血液内科学分野
准教授/分野主任
群馬大学医学部附属病院血液内科
診療教授/診療科長

本学術集会のテーマは「新たな50年に向けて ともに創ろう、この先の骨髄腫治療を」です。
今回の日本骨髄腫学会学術集会2025は、1980年に第1回が開催された前身の骨髄腫研究会から数えて50回目の節目の学術集会になります。群馬県で開催するのも2006年の第31回(伊香保 会長:村上博和)以来、約20年ぶりです。
この半世紀の間、骨髄腫の治療は目覚ましく進歩し、分子標的治療薬、二重特異性抗体を含む抗体療法、CAR-T細胞療法などの免疫療の開発と投入により、不治の病であった骨髄腫も一部では根治に至るのではないかという期待も生まれています。ゲノミクスからプロテオミクス、シングルセル解析、空間オミックス解析に至る様々な新規解析技術は、この難治性腫瘍の本質と新しい治療開発の糸口を明らかにしつつあります。しかし現在の進歩した治療法によっても早期に治療抵抗性となる骨髄腫もあること、10年、20年と生存期間が延長しても人生100年時代と言われる現代においては、決して満足のいくものではないこと、など積み残されている課題はまだあります。
最近では人口減、高齢化、物価高騰、高額療養費など様々な社会的な変化が医療環境にも影響を与えています。未来の骨髄腫治療を創っていくには、一人や一つの組織、あるいは一つの国の力では不十分なことは言うまでもありません。学術集会では、集まって、討議して、新しいものを創っていくことを目標に、上記のテーマを掲げています。
今回学術集会において集まって討議するのは、医師や研究者だけでなく、コメディカルスタッフに加え、治療をさらに先に進めるために必要なステークホルダー、プレーヤーである、製薬企業、規制当局、患者さん代表、ARO/CROにも議論に加わっていただく企画を計画しています。また国内外の多施設共同研究グループ同士の討議を企画し、さらに大きな枠組みを創る端緒になることを期待しています。
今回113演題と100を超えるこれまでで最大数の演題を登録いただきました。たくさんの演題をありがとうございました。この学術集会では「集まる」ということの意義と楽しさを、改めて実感するものにするため、サイエンスや医療など学術に関するディスカッションだけでなく、第50回のアニバーサリーとしての祝祭空間や演出を企画しました。ぜひ参加いただき、楽しんでください。
血液専門医のみならず、若手医師、研究者、薬剤師、看護師、企業の方、大学院生等、骨髄腫診療に携わる多くの皆様と「新たな50年に向けて、この先の骨髄腫治療を語り合う場」をご一緒できることを心より楽しみにしております。