会長挨拶
第50回日本骨髄腫学会学術集会開催に向けて
第50回日本骨髄腫学会学術集会
会長 半田 寛
群馬大学大学院医学系研究科血液内科学分野
准教授/分野主任
群馬大学医学部附属病院血液内科
診療教授/診療科長

第50回日本骨髄腫学会学術集会を2025年5月23日(金)~25日(日)にGメッセ群馬(群馬県高崎市)にて開催いたします。
本学術集会のテーマは「新たな50年に向けて ともに創ろう、この先の骨髄腫治療を」としました。
本学術集会は、1976年に設立され、1980年に第1回が開催された前身の骨髄腫研究会から数えて50回目、設立からも49年目という節目の学術集会になります。群馬県で開催するのも2006年の第31回(伊香保 会長:村上博和)以来、約20年ぶりです。
この半世紀の間、骨髄腫の治療は目覚ましく進歩し、分子標的治療薬、免疫抗体療法、免疫細胞治療の開発と投入により、不治の病であった骨髄腫も一部では根治に至るのではないかという期待も生まれています。ゲノミクスからプロテオミクス、シングルセル解析、空間オミックス解析に至る様々な新規解析技術は、この疾患の多様性と新しい治療の開発糸口を明らかにしつつあります。しかし現在の進歩した治療法によっても早期に治療抵抗性となる骨髄腫もあること、10年、20年と生存期間が延長しても人生100年時代と言われる現代においては、決して満足のいくものではないこと、など積み残されている課題はまだあります。
これらの課題を解決し、未来の骨髄腫治療を創っていくには、一人や一つの組織、あるいは一つの国の力では不十分なことは言うまでもありません。
2020年から始まった新型コロナパンデミックの3年間がようやく一段落し、国内外の学会は通常の開催形式に戻りつつあり、人々も集うことに喜びを感じているようです。本学会の学術集会も昨年2023年はハイブリッド開催そして本年2024年は完全集合形式で開催され、想像より多くの方々が参集され、実に活発な討議が行われました。皆さんがどれだけ集まること、話し合うことに飢えていたか、そして集まることの重要性をコロナ禍において改めて認識したことが、よくわかりました。
本学術集会では、集まって、討議して、新しいものを創っていくことを目標にすることを考え、上記のテーマを掲げています。
今回の学術集会において集まって討議するのは、医師や研究者だけでなく、第49回高松会長のもとに集まったコメディカルスタッフに加え、治療をさらに先に進めるために必要なステークホルダー、プレーヤーである、製薬企業、規制当局、患者さん、ARO/CROにも議論に加わっていただく企画を計画しています。また国内外の多施設共同研究グループ同士の討議を企画し、さらに大きな枠組みを創る端緒になることを期待した企画も検討しています。
また、サイエンスやテクノロジーだけでなく、第50回という節目であることも記念し、アニバーサリーとしての祝祭的な雰囲気や演出も考えています。
このように「集まる」ということの意義と楽しさを、改めて強調する学術集会にしたいと考えています。今回作成したポスターは、このような私の思いを隠喩として込めてあります。
血液専門医のみならず、若手医師、研究者、薬剤師、看護師、企業の方、大学院生等、骨髄腫診療に携わる多くの皆様と「新たな50年に向けて、この先の骨髄腫治療を語り合う場」をご一緒できることを心より楽しみにしております。